機能美への道

ライカの完成形と言われたM4。個人的には完成を見たのはM2だろうと思うのだが、M4はM2の進化系だと。M4からM5へ変化し、またM4へ戻り、その後はM4の延長線上のM6、M7へと続いた事を指してM4が完成とみるのだろう。

いずれにしてもM2だろうがM4だろうがMPだろうが、日本はもちろん世界に衝撃を与えたM型第1号のM3の派生でしかない。でも、M3のデザインは装飾が過度で無駄がある。優れたファインダーで尊敬をあつめるM3だが、M3のファインダー窓枠の縁取りはファインダーへの接触を防ぐ意味があったかもしれないが、対して役に立ちそうもない。故に無駄な装飾感が出てしまい、シンプルなM2やM4に対して野暮ったく思わせる。M型始祖としては揺るぎないが、デザイン上の完成はやはりM2かM4だと思うのだ。

メカニズム上はフィルム装填方法の簡便性や巻き戻しクランク装備などでM2よりもM4の方が実用的であるけれども、デザイン上ではどうだろう。その視点で私が最も着目するのは何と言っても巻き上げレバーだ。
M4の巻き上げレバーやセルフタイマーレバー、ファインダー枠の切り替えレバーに最先端のプラスチックが採用されて指にソフトとなった。特に巻き上げレバーは中折れ式になってシャッターダイアルと巻き上げレバーが衝突することもなくなった。しかし、デザインの観点でみると・・・・。M2の巻き上げレバーはM3と同様の、シャッターボタンからスラリと伸びる一枚板の金属レバー。巻き上げレバー前後の異なる絶妙なRがシャッターボタン側の根元からレバー先端に向かって融合する。また、レバー先端は段があり全体より厚みを持たせて面積を増やして巻き上げ圧力を下げて指あたりを良くしている。さらに巻き上げ時に指の触れる面は滑らかで指を痛めない。

実に機能とデザインが高度に調和した至高の巻き上げレバー。それがM2、M3のデザインなのだ。

M3登場で日本メーカーは慌てて予定していた新商品の発売を延期してまでフィルム巻き上げ機構にレバーを導入した。そこでニコンは大きな間違いを犯している。機能を吟味しないまま、見た目のみをコピーした為に起きた誤りで、今日で中国や発展途上国がやらかすソレと同じことをニコンもやっていた。それはニコンFの巻き上げレバーにもあるのだ。

M2、M3の巻き上げレバーは格納時にはボディのシェルの範囲にきちんと収まるよう設計されていて、使用する時には予備角が取られており少しレバーを引き出して親指をひっかけておくのだが、その予備角まで引き出す為の工夫がある。先ほどの巻き上げレバー先端の太くなった部分の更に先端に、丁寧に加工されたローレットがある。あくまでシャープに、レバー先端のRに沿って溝の角度も変化させてあくまで美しい。格納された巻き上げレバーの先端に指を当ててローレットの滑り止めを利用して引き出す。撮影体制に入って親指を巻き上げレバーに引っかけても、先ほどのローレットはレバー先端のみにあるので、その後の巻き上げ動作で指を痛めることはない。

そんなローレット加工をニコンもマネようとしたのだが、大失敗をやらかしているのだ。ニコンは予備角まで引き出す為のローレットを、こともあろうか巻き上げに親指に食い込んでレバーから指が離れないようにする為の滑り止めと受け止めて、ライカでは滑らかな面で仕上げている指の接触部分にまでローレット加工しているのだ。これにより、当時でも使い込む内に指が痛くなると評された。

付け焼刃の猿まねでは本質を踏み外して失敗するだけだという教訓だ。
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by oblivion2077 | 2015-01-12 14:36
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