違和感の正体

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2001年の発売から10年が経つシグマ 20mm F1.8DGは、公表されていないマイナーチェンジが繰り返されていると見られ、内蔵のCPUも変更されているとのことらしい。外装も現在のシックなマットブラックに至るまで、私の所有のザラザラでラメっぽいキラキラのある樹脂のものや、ゴムローレットの滑り止めパターン形状の変更など、何度か紆余曲折あるようだ。当然、初期型から光学系も硝材の変更も含め、修正変更があったろう。

ネット上の評判については、スペックが若干マニアックなレンズということもあってか、サンプルが少なく参考にするには微妙なところだけれど、その数少ないテスト撮影の評価は周辺画質が悪いとの結論が多い。片ボケも発生するという一方で、メーカー調整後は良好の報告もある。私が購入したのは中古のレンズだけど、このレンズの購入前にそれらの性能や傾向の情報をネットのレビューやテスト報告から得ていたので、CPUが刷新されていると思われるシリアルのレンズを2個取り寄せて、お店にフルサイズのDSLRを持ち込んで試写させてもらって状態確認を行ったのだ。結果は、2本双方が前ピンで右画面の片ボケという同じ症状。そんな場合はボディを疑うことになるが、所有しているニコン純正レンズ(24mm F1.4G)では問題は無しだった。この中古レンズには半年の保証がついているので、片ボケは保証範囲で修理可能とお店に確認した上で、購入を前提に一旦、メーカーに送って片ボケ修理を行ってもらった。

しかし、シグマは片ボケを社内基準範囲内として修理を拒否(販売店の話では)した。これについても、ネット上で同様の話が載っていて、片ボケの程度によっては調整されずに返送されるらしい。等倍で確認が容易な現状に於いては、微に入り細を穿つユーザーの目に晒されるメーカーに対して同情もあるので、前ピン、片ボケは気にはなるけど一応納得して購入した。購入して持ち帰り、自分で調整できるものなのか、いろいろ試写をして検討することにした。

前ピンについてはボディ側の調整ですぐに解決した。次に片ボケはマウント部を取り外してスペーサーをかます方法を採る。マウントを分解してみるとちょっと戸惑うのは、分解し慣れたニコンのマニュアルレンズとは異なって現代AFレンズの内部は(というかシグマの鏡胴内が、とういべきか)非常に華奢でプラモデルのようであること。鏡胴と金属マウントの間に数枚の極薄スペーサーが既に咬ませてあり、現場調整が前提の、少しダルな設計が伺える。このあたりの調整具合によって当たりレンズ、外れレンズが出るのだろうか。片ボケを矯正するようにスペーサーとして紙を挟み込んで組み立てる。しかしもともと入っていた極薄の金属スペーサーがヒラヒラと動いて組み立てにくい。そしてヒラヒラの極薄スペーサーを落ち着かせていると、マウントと鏡胴をつなぐ極薄のフレキを切ってしまわないかヒヤヒヤするのだ。まともに組み上げられるか不安になり、AFレンズは分解するものではないな、と心から思うのだった。

組み立てて試写するも、紙のスペーサーでは調整として全然足りないことが判明。薄い紙のスペーサー如きでは変化は見られなかった。マウント部のネジを緩めて敢えてマウントと鏡胴の間にガタを生じさせて、カメラにセット。片ボケが矯正される方向に鏡胴を歪めながら撮影する。歪め具合を微妙に変えながら撮影すると、画面の左右で像が同じくらいにピントが来るポイントがあった。このベストポイントが見た目でも分かるほどに鏡胴を歪める必要があるので、思い切って根本から改善する事にした。

意を決し、分解組み立てを阻害している、あまり役に立っていない極薄金属スペーサーを取り去り、自作スペーサーの調整をやりやすくした。そして、薄く切った発泡ゴムをスペーサーとしてマウントと鏡胴の間に、しかも片側だけに設置した。大幅に鏡胴を歪めなければ正常にならない為、厚めのスペーサーを片側に入れ、マウントを鏡胴に固定するネジをスペーサーを入れた方を緩めた。それ程歪める必要がある。つまり、調整の範囲を超えた処理をしなければならない為、メーカーは調整を断るしか方法がなかった、ということだろう。

調整後しばらくは気にせず使っていたけど、やはり完全に固定せず(固定できない)無理に調整しているので遠景を撮るたびに微妙にズレたりする。不安定な状況に何か違和感を覚え、そうするとまた気になってくるので、色々と条件を変えて試写をしてみる。すると、中央を前ピンにすると周辺の像がクッキリとし、中央にピントを移すと周辺がボケる。その中間の程度によっては中央、または周辺がボケる程では無いがフレアっぽくなる。

この症状は何を意味するのか。これはつまり、すべての違和感の源は像面湾曲にあったのだ。しかも、これはかなり重症な像面湾曲だ。
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# by oblivion2077 | 2013-08-11 17:58