映画「ダンケルク」を観た

クリストファーノーラン監督の最新作「ダンケルク」を鑑賞。
陸海空の3つの異なる時間軸で物語が進み、映画後半へ向かって集約して1つとなる、というトリッキーな脚本だけれども、全く違和感や場面切り替わりによる混乱も無く、素直に観る事ができたのはやはり脚本のみならず撮影、編集すべてが丁寧だからだろうと感じた。

優れた映画であることは間違いない、ということを前提として、気になった点を書く。

IMAXカメラで撮影、と謳われているけれども、田舎のわが町や近場にIMAX対応の劇場が無い。それは仕方が無いとして、IMAXカメラってなんだ、と思って調べると70mmフィルムを使って撮影するカメラという。私の世代だと35mmフィルムで撮影が主流であったけれども、稀に70mmフィルムを謳った映画があって、記憶にあるのがロン・ハワード監督の「遥かなる大地へ」。美しいオクラホマの風景や迫力のランドレースなどが70mmフィルムの圧倒的な高画質で鑑賞できた。この時、70mmカメラというものを知り、その後フォーマットというものを意識しはじめたのだった。

その70mmで撮影されたのがIMAX対応ということらしいけれども、てっきり高精細高画質の撮影はデジタルが圧倒していると思っていたが、フィルムが優秀なんだね。これは少し驚いた。で、その70mmフィルムは面積が大きい。その為、「ダンケルク」では被写界深度の浅い画が多かった。特に夕暮れの光量の少ない場面では絞りを開けているのか、かなり薄い被写界深度で独特の雰囲気を醸し出していた。

このIMAXカメラに拘って使用しているのがノーラン監督ということだが、その画作りへの拘りでもってしても、また、巨額の予算を以ってしても、解決していなかった問題が今回も気になって没入を妨げる。特にこの映画は3つの異なる時間軸を最終的にシンクロさせていくので、最終場面に於いては同じ場面を多角的な時間、多角的な視点で撮影されているの為に、かの問題については神経を遣っていたと思うのだが、それでもやり遂げることが出来なかったようだ。

その問題に気づいたのは、全盛期のケビン・コスナー主演の「フィールド オブ ドリーム」での事。映画終盤で往年のスター選手たちがフィールドで野球をやっているところ。そこに若きムーンライトグラハムが参加する。そしてナンたらカンたらあって、クライマックスへと進んでいくにつれ、徐々に陽が傾き夕暮れとなって夜となるのだが、カットの度に太陽の高さや天候がコロコロと変わっていく。向かい合って話している人物にそれぞれカットが切り替わると午後3時くらいだったり正午近くだったりする。空も曇っていたり晴天だったり、とても同じ場所にいるように思えない。もちろん、撮影の効率化で同じシーンをカットによってバラバラに撮影するハリウッドスタイルが原因だろうが、それに気づいてからは太陽と天候が気になって仕方が無くなって、後半最後の怒涛の名シーンも感動にブレーキがかかってしまう。

その問題がこの「ダンケルク」の後半、3つの異なる時間軸が揃ってきた頃に、若干発生する。かなり気を遣っていたと思うのだが、同じ場面でカットにより陽が射しているいるパターン、曇っているパターンがランダムに現れて、「撮影の事情」が脳裏にちらつく。

「フィールド オブ ドリーム」や「ダンケルク」はもちろん、特に夕暮れ時のシーンを撮るには、光の具合が刻々と変わるので、撮影のチャンスは少ない。それを補う為に日を分けて撮ると、今度は天候が揃わない。コストがかかるのだろう。妥協点がどこかに置かれる。「フィールド・・」は低予算だったので、笑えるほど不揃いな光と天候だった。ダンケルクは、かなり追い込んでいたが、限界があったようだ。

しかし、映画はとても優れているので鑑賞をお勧めする。



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# by oblivion2077 | 2017-09-12 15:45