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写真撮影に突き動かすものは

私が写真の道に入ったのは、当時月刊コンバットマガジンに寄稿していた銃器ライター兼写真家の永田市朗氏の影響があったからだ。

彼、イチローは単身渡米して苦労の末市民権を得、好きな銃器を購入し、それを写真に撮って専門誌に寄稿して西海岸で成功した。80年代のまだバブルを知らない日本人にとっては、アメリカンドリームを体現したような人であり、憧れであった。ハンドガンをこよなく愛し、その扱いにも精通し、また競技として、実戦として、技量も磨いていく。大会ではナンバー1ではなかったが上位の常連だったし、その腕を認められてFBIの講師も勤めたりした。写真も銃器の魅力をいかに引き出すかをよく心得ていて、銃器を好きだからこその視点で他の銃器写真を圧倒。彼の銃器写真は業界の写真に多くの影響を与えた。

モノを撮る。イチローのように好きなモノを、かっこ良いと思うものをかっこ良く撮る。かっこ良いものが更にかっこ良く見えるように撮る。これに目覚めたのが写真の入り口だった。

そんなイチローはどうしているか。最近、YOUTUBEで彼の姿を久々に見ることが出来た。動画で見るのはロス疑惑の時にワイドショーに銃器に詳しい人物として出演した時以来だ。現在のイチローは・・・ドテラを着てゴムひものジャージパンツをはいて、なつかしのボブチャウカスタムに装着されているベルトクリップでゴムひもパンツに引っ掛けて登場。完全なじいさんや!PCモニターの前で思わず「ジジイやんけ」と叫ぶ。でも、さっとボブチャウを抜くと右と左に数発づつ発砲。とたんに顔つきが現役のそれになる。さすがや。

ボブチャウカスタムはそれまでの常識を翻すもので、GMの角という角を丸く削って滑らかにした姿をしている。ホルスタや衣服に引っかかって射撃を邪魔しない為、という。理由はあれど、その姿に衝撃をうけたものだ。多くの若者が手元のGMモデルガンの角を削ったのだった。銃器の世界ではカスタムが当たり前。ガンスミスと呼ばれる個人のカスタム職人も居て、星の数ほどカスタムパーツがあふれている。DIYの国アメリカならではの文化だろう。もちろん、自分でカスタムする者もいる。ボブチャウもそんなガンスミスの一人で、公私ともにイチローと交流があったらしい。

一方、カメラ業界は純正至上主義で、レンズメーカー製のレンズさえ、異端あつかいであった。そんな中、所ジョージが例の番組でEOSKissのデジカメをプラモやモデルガンにするようなDIYを実施。プラモデルを塗るようにカメラの色を塗り、なぞの部品をくっつけたりするのだ。彼はアメリカ文化が好きだし、銃や車、バイクが好きで、それらは分解、組み立て、メンテナンス、カスタムと何でも自分でやる趣味。そこにカメラが加わると、同じように接してしまうのだろう。所ジョージの趣味人ぶりは好きなほうだが、こればかりは抵抗感があって全く受け付けなかった。

話を元に戻してイチロー氏。90年代に彼の人気は絶頂を向かえ、彼の人気で金儲けしようとする人たちも群がって来る。バブルも後半である時代で日本人も気軽に渡米して彼に直接アプローチする。イチローもかなりちやほやされて、かつてのクールで物静かな男もなんだかめんどくさい人に思えてくる。キモイ信者やアンチも出てきて混沌とするのだ。もちろん、その頃にはモデルガンにも冷めるお年頃となったので、断片的な話しか知らないのだが、そこからずっと、自分にとっては過去の人となっていた。それがじいさんの姿でネット上に現れる。なんという再会。

ハンドガンの世界は、かつてGMやM19が活躍した時代とは様変わりしている。写真の被写体として耐えるものは無く、組織犯罪や過激化する犯罪者へ対応する為の進化を遂げ、軽くて多弾数で、誰でも打ちやすいセミオートな、要はグロックのような銃となったのだ。見た目は丁度スニーカーのような感じ。マキタの電動インパクトのような感じでもある。とても写真に撮りたいと思えるものではなくなった。カメラについても同じ。80年代以降のカメラで写真に撮りたいものは殆ど無い。最新デジカメもハッタリのテクスチャばかりなので、写真にするとそれが透けて見える。結局、70年代以前の機械式カメラを撮る事となるのだ。

銃器写真が進化した理由の一つは、モデルガンの進化と同様の理由と思う。それは、銃刀法による直接見て触れることの出来ない日本の銃器ファンのニーズに応える為に切磋琢磨した結果だ。カメラの写真がずっとカタログ写真の域を出なかったのは、手元にいくらでも本物があるからだ。多くの個人のHPやブログで自慢のコレクションが披露されてきたが、その写真は全く淡白なもので証拠写真のようにストロボ一発でクッキリはっきり写ってはいるもののかっこ良さとは程遠いものばかりであった。それが10年位前かな。それに気がついて、カメラの画像を検索しまくったけれども、やはり80年代~90年代の銃器写真に並ぶような物撮りカメラ写真は発見できなかった。中古カメラブーム真っ只中の時代のアサカメやポンカメの古本雑誌を開いてみても同じ。作例はしっかり撮っていても、肝心のカメラ本体の紹介写真はそっけない写真ばかりなのだ。とてもカメラ雑誌とは思えない。

これには少し憤ったのだ。お前らカメラを好きなんじゃねぇのか、って。文章では質感やら精密感やら語って居るじゃんか。それをなぜ写真にしない?ん?買って手に取ればわかるとナ?むむ・・・。

これはやはり触りたくても触れない、直接見たくても見られない銃器と、触れるし所有すら可能なカメラとの違いが写真撮影の意識に如実に現れた為だろう。常日頃、写真技能を紹介、レクチャーするカメラ・写真専門誌でさえ、カメラ写真には冷淡になるくらいに。無いなら自分で撮る。そう思ってブログにカメラ写真を載せるようにしたのだ。どうだ、カッコイイだろ、と。でも、全部自己流なので中には黒歴史的なものも多数ある。でも、かっこよさを伝えたい情熱は伝わると思っているのだ。

現在では、かっこ良いカメラ写真を掲載するブログも増えてきた。日頃お世話になっているカメラ。あらゆるテクニックを注いで撮りたい写真をゲットさせてくれるカメラそのものを撮影する時にも、より良く見せる撮影テクニックを惜しみなく使う。そんな人も増えてきているように思われる。中古カメラを扱った雑誌もかなり変わってきた。

さあ、防湿庫に眠っている自慢のカメラをかっこよく撮って、中古市場価格を上昇させて売り抜けよう!   ・・・あれ?
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by oblivion2077 | 2015-07-21 17:09