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旧ニッコールの金属ローレット

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テレビチャンネルをザッピングしていたら所ジョージの世田谷ベースの放送に出くわしてそのまま鑑賞。ギターのアンプのダイアルつまみをアルミ削り出しで特注した話をしている。アルミで削り出し、ローレット加工もこだわって溝が均一になるような高度な技術で行い、一部はアルマイト加工して、文字はレーザーで刻印加工した。このつまみをいじっているだけで楽しいと言う所ジョージ。

この特注つまみを製作するにあたって数社の工場が関わっているという。それぞれの工程に専門の工場があって、それらが一つになって製品が出来上がる。ローレット加工の工場では、かつてはこだわりの強い個人が依頼して、レンズのローレットを削ったこともあるし、ビンテージ車のパーツを削ったこともあったが、最近は全くないそうだ。安くてそこそこの中国製におされていては、このままではそういった技術も失われてしまうかもしれない。

ニッコールの金属ローレットも素晴らしい。でもね、アルミの削り出しを塗装しているのでエッジが柔らかくなっているのは指には優しいのだが、ちょっと物足りない。ジャンクのオートニッコールの塗装をはがしたことがあるが、塗装を脱いだローレットは攻撃的なほどにシャープでカッコ良かった。ここは黒のアルマイト加工もありだったのではないだろうか。確かに、アルマイト加工は傷つくと錆びるしキズの様相も美しくない。塗装は多少剥げても艶だ出ても、味わいのある風合いとなるのだが。

オートニッコール 55mm F1.2のローレットはごつくて大きい。一方で50mm F1.4のそれはちょっと迫力不足。金に糸目を付けないなら、町工場でオリジナルを特注してみるのもいいかもしれない。
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by oblivion2077 | 2014-01-30 15:34

オールドレンズ

ミラーレスを含めてレンズ交換可能なデジカメが普及し、その性能も充実してきたこともあって、古いレンズの味を楽しむ人も増えてきた。そうした需要を背景にマウントアダプターも複数社が開発、販売しているという、銀塩時代には考えられないほどの充実ぶりだし、オールドレンズを特集するムック本も度々出版されている。

しかし、そのムック本の殆どで無視され続けていると言って過言ではないのがニッコールレンズ。特にオートニッコールなどは1960年代~70年代だから40~50年は経っている立派なオールドレンズなんだけれども、オールドレンズを愉しむ、という趣旨の特集やムック本で採り上げられることは皆無と言っていい。これには強い不満がある。

オールドレンズとして特集されるレンズ達は、ライカレンズ、ツァイスやその他欧州系のレンズが多い。あえて日頃接する事の無いレンズを味わうのだから、名の通ったものや、マニアックはレンズが好まれるのはわかるのだが、一方で手軽で身近な、市場にも潤沢にあり、性能もピンキリの様々な状態のあるニッコールが採り上げられないのはおかしい。確かにオシャレな欧州レンズに対してブランド力が弱いし玉数豊富なので安い。しかし性能は単焦点中心なので現代レンズに引けを取らないものが多い。それがかえって面白味が無いように思われるかもしれないが、ニッコールには35mm F1.4や85mm F1.8、55mm F1.2など個性的な面白いレンズがある。

モノクロ時代のニッコールはとにかくシャープに像面湾曲補正を掛けているので良く写るけれども、その場の雰囲気を表現する空間描写が不得手とされているのでいわゆるオールドレンズっぽくない。だからこそ、その中でも面白いレンズを紹介してほしいのだ。
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by oblivion2077 | 2014-01-30 12:42

nikkor 50mm F1.8のバリエーション

コアなファンに支持されまずまずの売れ行きを見せるNikon Df。あれこれ言いたい事はあるが折角発売された希有な存在のカメラを使う人が居る。これは今後の展開にとって好ましい事である。陰ながら応援しているのだ。

そんなコアなユーザー達は、Dfのコンセプトに沿ってMFレンズを活用しているようだ。このブログの希少なアクセスの中でもDfに似合うレンズとして紹介したAi nikkor 50mm F1.8sの記事へのアクセスは多い。この50mm F1.8にはいくつかのバリエーションがあって、もっともお勧めなのは、記事に書いた国内向け金属鏡胴タイプ。ではこれ以外は何があるだろうか。

専門家ではないので大雑把に書くと
・Ai nikkor 50mm F1.8 シリアル180~190万あたり。F1.4と同じくらいのサイズでパンケーキではない。

・レンズシリーズE 50mm F1.8 シリアル100万あたりかな。Nikon EMクラスのレンズとして発売され、nikkor銘を許されなかった廉価バージョン。でも光学性能はNikkorと同等。リトルニコンのEM用としてパンケーキレンズにデザインされた。

・Ai nikkor 50mm f1.8s 国内向け(パンケーキタイプ) シリアル200~220万くらいかな。レンズシリーズEをNikkorに格上げ。外観がNikkorのものに変更された。元ネタがパンケーキなので、このレンズも同じサイズ。

・Ai nikkor 50mm f1.8s(非パンケーキ) シリアル 300~400万未満だと思う。AiタイプをそのままAi-sに修正した感じ。Ai-s化にあたり絞り連動レバー周りのメカは変更されていると思うが、現物を持っていないので不明。

・Ai nikkor 50mm f1.8s 海外向け(パンケーキタイプ) シリアル400万~。鏡胴が樹脂になり、ゴムローレットではなく、鏡胴と一体となっている。最短撮影距離が60cmだったかな。ちょっと長めなので使いにくい。国内向けをお勧めするのはこの為だ。

その他AFレンズは割愛する。AFレンズも3種類くらいあるはず。Dfユーザーの方々に参考になれば幸いです。
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by oblivion2077 | 2014-01-23 11:26

Leica monochromeとNikon EM

ライカの白黒撮影専用のM型デジタルカメラは、価格80万くらいだろうか。かなりの高額品だ。多くのデジタルカメラではRAWで撮影しておけば、後処理で白黒にもカラーにも出力可能。JPEG出力でも画像処理ソフトで白黒にできる。しかし、カラーを前提にした画像素子は、ベイヤー配列の弊害があり、光の3原色の各色3つの素子で1つのカラー情報を得る為に問題が多い。一方、モノクロ前提で素子一つ一つが単純な光の強弱を測定し、それがそのまま画像を構成する場合は、3つの素子の組み合わせをによる問題もなく、素直に精細で諧調豊かになるという寸法らしい。専用の画像素子だから諧調も豊かだが、言い換えればモノクロ写真しか撮れない。専用の素子によるモノクロ、カラー素子から彩度を引いたモノクロ。専用にする程の違いは出るだろうか。

そんなライカ モノクロームを敢えて購入する人々の心理は、共感こそできないが理解することはできる。
ひとつは、金持ちが見栄を張るタイプ。金持ちにとってライカなどハシタ金で買える。金持ちでカメラ好きなら誰でも持っていると言っていいくらいだ。しかし人が持っていないライカなら少しは自慢できるし、薀蓄の一つも言って仲間を煙に巻く楽しみもあろう。
趣味仲間に見栄を張るタイプ。モノクロ写真に対する思い入れの強さを、高額なライカ モノクロームを購入する事で「証明」し、同種の価値観を持つ仲間に尊崇の念を抱かせることに喜びを感じる。
とりあえずお金があった人。家電店に行ってテレビを購入する時「この店で一番高い物をくれ」というタイプとも言える。実際、若い男性がライカの事を聞きかじりでM8を購入する場面に関わったことがある。カメラに詳しいとはとても思えないが発売されたばかりの新品M8と中古のM2を購入していった。

ライカ モノクロームの性能については判断しかねるが、あえての機能制限と、むしろ高額な価格設定とがブランドと結びついた時に、人々に様々な心理を引き起こし、それが商売になったりする。ライカはある一点の価値に突き抜けることで、ビジネスとして成り立つ道を見出した。さて、かつてニコンはリトルニコンの愛称でEMを発売した。商売としては成功しなかったが、中古カメラブームの火付け役田中長徳というカメラライターの方が評価し、今でいうステマで注目された。これにより通常なら4~5千円で取引されるところが、1万円くらいに高騰したことがあったのだ。ダイキャストボディに分割巻き上げ、ジウジアーロ的なデザイン。普及機でも妥協しないニコンとして紹介され、火が付いた。

私がニコン EMを購入したのは中古カメラブームが去った後。3~5千円で3台購入し、2台は購入価格と同じくらいの値段で処分した。絞り優先AEと中央部重点平均測光、逆光補正ボタンで全て完結するシンプルな機能で、もちろん内蔵ストロボなんて無い。コンパクトなのに、ペンタゴナルプリズム搭載でマニュアルフォーカスしやすい。ボディは小さくともヘンテコなグリップもなく握りやすい。中折れ式巻き上げレバーをコックして親指をひっかけておくので片手でもグリップは安定する。コンパクトでシンプル操作で、しかし、カメラとしての品質はクラス以上のものを搭載するEM。しかし、商売的には成功したとは言えない。なぜか。上述の通り、EMは初心者向けであり普及機として造られた。これが原因といえる。私が手放した理由も、メカは認めるがパッケージがチープだったからだ。

普及機として価格を抑える為にシャッターダイアルを省き絞り優先AEのみとした。初心者向けとして、上級な撮影に使うスポット測光も露出補正機能も省きコストダウン。外装も素材も安く成形も簡単なプラスチックを採用した。コストダウンありきの仕様で、シンプル&コンパクトの尖ったコンセプトがあった訳ではなかった。仮にコンセプトがあったとしても、チープな外装や質感なのでコストダウンの言い訳にしか聞こえない。きちんと真鍮外装を施し、逆光補正のボタンに加え(感度設定ダイアルがついているのだから)露出補正ダイアルも併設し、シャッターフィーリングを向上させていれば、倍の価格でも売れたのではないか(無責任だが)。少なくともチョートクさんがステマしなくても中古市場で高値が付いただろう。そしてこのコンセプトが浸透し、高級コンパクト一眼レフ市場が生まれただろう。高級コンパクトカメラ市場は存在したのだから、一眼レフにだって需要はあるはずだ。

現代に於いても一眼レフのコンパクト機と言えば初心者用または廉価普及機しかない。しかもEOS KISSの影響で女性向きに設計されているのでグリップが細く握りにくい。一方で、普及機と言えばコンパクトさを要求され、握りやすい十分な大きさのカメラは無い。

なぜ、安価で撮影しやすいサイズのカメラが造れないのか。
なぜ、コンパクトでコストを掛けたカメラが造れないのか。

どの業界でも同じだが、過去のデータから将来を決めるマーケティングの為、無い物は作り出せないでいる。映画やゲームは続編やリメイクが多く、製品は似たり寄ったりの機能。しかし、EMは過去の物である。田中氏のおかげではあるが、一度は「クラス上の品質を備えたコンパクト一眼レフ」として人気を得た。この経験に学ばなくてどこに学ぶのだろうか。

ライカ モノクロームにはついてけないがな。
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by oblivion2077 | 2014-01-16 15:59

最近のニコンデザイン

ふと思いついてカメラマンの曽根陽一さんのサイトを見てみたら、脳出血で寝たきりの闘病生活でもう1年という。その昔、月刊カメラマンでスナップ写真の記事を書いておられ、写真を始めたばかりで物撮りから入った自分としては、写真は自由だ!と目からうろこであった。その記事では、曽根洋一氏の手にはNikon FE 黒があり、Ai改のオートニッコール28mm F2が装着されていた。FEは使い込まれて角という角が金色に光っていたのを覚えている。曽根氏は私の憧れのおっさんであり、また、奥さんの闘病日記を読んでみると、家族も含めておっさんにやはり憧れるのであった。

現在のニコンユーザーとなったのも、この曽根氏のFEに衝撃を受けたからともいえる。当時はキヤノンユーザーであったが、キヤノンのデザインは正直フラッグシップ機以外はカッコ悪いと感じていた。しかし、中級機のNikon FEやFMのデザインは眩しいほどにカッコ良かったのだ。

現在、ニコンのデザインはどうだろうか。現代ニコンのデザインは、以前にも触れたようにF301以降F5に至るまでの間、かなり迷走した。これは本格的な電子制御のカメラをどうするか、どのようなユーザーインターフェースを基本に据えるのか、まだ迷っていた為と考えられる。これが定まらないとデザインのベースも定まらず、世代が変わる毎に外観の印象が大きく変わってくるのだ。

F5以降は基本的な部分は確定した。D4とF5は違和感少なく、細かい設定や特殊な使い方をしない限り、説明書無しにすぐに使える。コマンドダイアルは2個パターンと1個パターンはあるが、世代を超えて踏襲されている。そういった基本を踏まえた上で、Dシリーズもデザインの変遷があった。D1やD100はまだ既存の銀塩電子カメラを流用していたので、元カメラのデザインが色濃かった。D2世代では専用ボディの為、新型カメラらしい外観を備えていた。この頃に背面のデザインが固まりつつあり、またニコンらしいDSLRデザインの方向性が決まった。その為か、D2はもちろん、D40に至るまで、奇をてらったラインや曲面は無く、オーソドックスで飽きの来ないデザインと言える。

次のD3世代では、脱D2世代として、D2世代デザインをベースに細部を変更したという印象。グリップ部の赤いワンポイントの変形ぶりが象徴的で、D2世代はNikon Fの3角ペンタを逆さまにしたデザインからD3世代では片方に歪めて伸ばしてはいるが、元は明らかにD2世代のものと分かる。D2世代にあったデザイン思想は確固たるものであった事に対し、あくまでD3世代はその変形型という位置づけであるが故に、少し小手先の変更が目立ち、全体を見た時にまとまり感が無い。D40とD3000を比較しても、根本は変わらないのに部分部分を無理に変えていることがわかる。そう、D2世代から脱皮しきれていない、迷走が見られる。

現在のD4世代では、そんなD3世代の迷いが吹っ切れ、新たなニコンデザインの構築が始まっている。D4のデザインはD1、D2、D3の流れとは異なるペンタ部を含む上カバーとなった。Nikon銘から左右に流れる曲面はD800やD600にも影響し、特に左側の角の面取りしたようなデザインへとつながっていく。この基本デザインが定まったために、D3世代に見られたような無理な変化、変化の為の変化は必要なく、全体のまとまりの良い飽きの来ない新デザインを得ることが出来た。

その流れのなかで今回発表されたD3300も目に違和感の無い、D40の再来のような落ち着いたデザイン。スペックも成熟しており、秒間5コマなどは、従来ならあえてスペックダウンすることろだが、惜しみなく付与している。普及機においても手を抜かないニコン。ますますニコンが好きになるのであった。
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by oblivion2077 | 2014-01-09 11:55

良質であるが故に滅ぶ

SONYのα7のファインダーは電子ビューファインダー(EVF)であるが、このEVFのMF機能が優れているという意見が価格コムにあった。AFはα7000以来、絶えず進化してきたし、ここ数年はほぼカメラ任せにしても問題ないくらいの感覚になってきてはいるが、それでも重なった何本もの木の枝や、看板・電線が細かく絡む街の雑踏などの複雑な状況では、本当にフォーカスしたい部分にピントが来ない場合があって、そこからの追い込みはどうしてもMFが必要になる。そのMFの追い込みについては、どうしても目視になる為、ファインダー内で拡大表示できるEVFは有効だというわけなのだ。

光学ファインダー(OVF)はEVFに対して優位であるとされているのは、表示のタイムラグが無い事と画面が精細であること、そしてバッテリーが不要なところだろうが、一方でファインダー内に
表示できる情報が限られている事や被写界深度確認時に暗くなる事、基本的にすりガラスを使用したスクリーンが故の実際の撮像とは微妙に異なる色と被写界深度の問題があり、細かいところでは接眼から覗く目の位置による誤差など、構造的な問題もある。

加えてOVFの性能がコストダウンやその他理由で劣化している問題がある。ズームレンズが主流となり、解放F値が明るくてもF2.8やF4、暗いものでF5.6やF6.3というものもあり、レンズを通じた光を利用して見るOVFの構造上、レンズの暗さはファインダーの暗さに直結する。そのファインダーの暗さを補うためにスクリーンの透過率を上げて明るく見えるようにしたのだが、スクリーンの透過率を上げると被写界深度の再現性が著しく悪くなる。透過率を上げるとスクリーン上ではピントが合って見える範囲が深くなり、そのつもりで撮影すると撮像との差が生じる。また、どこもピントが合っているように見えるので本当のピントの位置も掴みにくい。こんなMFが絶望的にやりにくい、またはMFが不可能なほどにあてにならないスクリーンが主流となった。これはAF使用が前提として妥協された仕様なので、スクリーン上でのMFは期待しないものとして設定されているのが実情だ。この状況はAF全盛となったフィルム時代から始まっており、当時から議論があった。更に近年ではプリズムを使わず、鏡の組み合わせで代用する廉価機が多く、さらにOVFの性能は下がっている。OVFの本来の性能から考えると、かなり形骸化が進んでいる状況なのだ。

そうなると、ここ数年で進化の著しいEVFの優位性は相対的に今後ますます高まってくる。現在、OVFの良さは上位機種でなければ味わえない。しかし、80年代のMF機ファインダーは普及機に至るまでOVF本来の性能を備えていた(あたりまえだが)。最近入手したNikon EMのファインダーも、若干ザラツキはあるもののフォーカスし易いし、ファインダーの倍率も大きく、スクリーンに映る画も美しく見ているだけで楽しい。普及機ですらできていたことが現在は希有なこととなっていることを考えると、このままでは上記の通り、高度な組み付け技術の必要なOVFは、新規参入メーカーにも敷居の低く進化途中のEVFに取って代わられる可能性が高い。

そしてNikon Dfで再現困難だった真鍮プレス技術のように、一旦失われた技術は2度と戻ることは無いのだ。
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by oblivion2077 | 2014-01-02 10:19