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知ったるものの責務

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Nikon V1をデザインした人物のインタビューを読んだ事がある。上に記したように、彼はレンジファインダーから一眼レフへの新時代の幕開けとなるニコン初の一眼レフNikon Fのペンタデザインをリスペクトし、従来の銀塩カメラの流れから純粋なデジタルカメラとして新時代を築くV1のファインダー部をデザインした。そのV1が売れ残り、投げ売りされた状況にデザイナーを含め、開発関係者は心を痛めたに違いない。

ニコンは商業的な失敗からニコンワンシリーズに後ろ向きになろうとしている。これはニコンが提案した未来を誤解し、付いて来れなかったユーザーが多数居た不幸から起きた事で、ニコン ワンの革新性が否定された訳ではない。在庫処分という形で、生みの苦しみとしてばら撒いたV1がユーザーにニコンの未来を正しく理解させ始めている。ニコンは市場の戸惑いを見誤ってしまった。ここでニコン V1の良さを知ったユーザーは、今度はニコンに正しい認識を促すべく声を上げるべきではないだろうか。
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by oblivion2077 | 2013-08-28 00:46

V1の可能性

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実際に触れてみるとV1の革新性がよくわかるのだが、そんな優れたV1が食わず嫌いなまま不評を買っているのは残念なことだ。これはユーザーの先入観、保守性、そして実際に触らずしてネットの情報のみで判断する怠惰が招いたことだろう。一方で実際に使用した上での不評があり、それに対しては確かにニコンにも非はあった。

Nikon V1の操作ボタンはコンデジの操作系を採用し、入力は上下レバーや回転するホイールなど、初心者寄りにシフトしたインターフェースであり、DSLR中級機並みの価格で購入するユーザーを満足させるものではなかった。アイピースのセンサーも便利な一方でセンサーによるオンオフの微妙なタイムラグが撮影意識を削ぎ、撮影する度に撮影画像確認画面が表示され、撮影のリズムを完全に破壊してしまう仕様であった。

不満はある。しかし、今までの撮影スタイルを変える破壊力を秘めたシリーズである。肥大化した銀塩カメラをデジタルで引き継いだDSLRとは一線を画す、かつてのバルナックライカに通じる小型カメラの原点に立ち返る事の出来る、その為の性能を備えた唯一のカメラとして誕生したニコン ワンなのだ。必要にして十分な素子サイズによる小型化。一方で撮影をフルにサポートしてくれるAF、AE。CXフォーマットカメラの新しい撮影スタイルの提案を、従来の価値観で期待していたユーザーがそれを理解できなかった不幸によりV1は売れ残り、それが影響してか、次に発売されたV2はストロボを内蔵し、しっかり握れる大きめのグリップを装備したDX機のミニチュアのような、昔のネオ一眼のような従来の価値観に縛られたものに造られた。

ニコン V1のデザインは、F301以降に迷走しF5でEOS化した中でやっと手にしたニコン独自の普遍性のあるもので、これはライカのMシリーズのデザインに匹敵する。匹敵するとは言い過ぎかもしれないが、その可能性は十分に秘めていて後面のデザインと操作系を見直すことによって、シンプルで飽きの来ない、シリーズをとして継承するに値するデザインになる。そんな優れたデザインをあろうことかニコンのコアユーザーが嘲笑した為に後継機に継承されることなくV1一代で終わろうとしている。

しかし、ニコンV1祭りで多くの人にV1が手に渡った。これによってV1のデザインの良さに気付いた人が増えているように思われる。不満がある一方で新しい撮影スタイルを期待させる革新的な基本性能に気付いた人が多くいるように思われる。V2のような肥大化ではなく、V1を着実に正常進化させたV1の正式な後継機を見てみたいと強く思う人々が増えているように思う。
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by oblivion2077 | 2013-08-25 17:55

Nikon V1

2013年秋、ニコンは今後「ニコン1シリーズ」の展開を見直すという。その方針発表の半年前にはNikon V1とJ1を大量に投げ売りして在庫処分を行った。DXフォーマットDSLR中級機と同じ価格帯で発売されたV1は、2013年春に10mmレンズセットで2万円で在庫処分されたのだ。これはネット上で話題になり、それはNikon V1祭りと呼ばれた。

ニコンのミラーレス発売は、その発売前よりかなり噂となっていた。噂によれば従来の銀塩カメラの流れにあるDSLRとは別次元のカメラとして開発されている、ということであったことから否応なくユーザーの期待は高まった。しかし、そのユーザーの期待とは、フルサイズミラーレスだとか高感度特性だとか、従来の価値観から脱することのない期待であった
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果たしてニコンより発表・発売されたのは1インチフォーマットの小型カメラであった。1インチフォーマットは、当時劣勢を強いられていた4/3フォーマットよりもさらに小さな画像素子面積であり、それでいて1000万画素の解像度を備えていることから高感度も期待できないと思わるものであったのだ。発表されたニコン1のスペックに、従来の価値観で期待を膨らませていたユーザーは大きく落胆した。ユーザーの落胆から来るネガティブな感情はそのデザインにも向けられた。V1のトップカバーの凸は表彰台のようだと言われ、J1は内蔵のスピードライトをポップアップした姿が潜望鏡とか、赤塚マンガ「イヤミのシェー」のポーズのようだ、と揶揄された。発売当時、ニコン 1のデザインは扱下ろされ、コテンパンに貶されたのだ。

新製品発表の写真で見るニコン1は、従来のニコンDSLRのデザインに比較し、かなりシンプルなもので、それ故かチープに見えた。発表の写真では質感や重量感までは伝わらない事と、全く新しい物故に写真を素に旧来の物を頼りに想像する事が困難であった事が、印象を悪くした原因かもしれない。私自身も発表時の写真を見て落胆した一人だったが、V1の発売後数か月後にカメラ店店頭で実際に手に取ってみるとその密度感やマグネシウム合金のトップカバーの質感に惹かれ、往年の名機であるNikon Fのペンタプリズムをそのまま形にしたように、EVFをそのまま形にした四角いファインダーのデザインが飽きの来ない普遍性のあるデザインと感じられた。実際に操作してみると、像面位相差のAFはDSLR並みに速く、ストレス無し。発表時にそのスペックを見て不安であったレンズにピントリングの無いことが、像面位相差AFの性能ならむしろ合理的であることが分かった。このAFならMFでピントを追い込む作業は殆ど無いだろう。

V1をその場ですっかり気に入ってしまい、丁度その頃にはすでに価格は若干下がり、初心者向けDSLR並みの値段になっていた事もあってすぐさま購入したのだった。
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by oblivion2077 | 2013-08-25 01:02

SIGMA 20mm F1.8EX DG RFの正当な評価とは

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片ボケ調整後も引き続いて違和感を覚えるその原因が強力な像面湾曲によることが判明した。広角レンズについて回る像面湾曲だがここまで強力なものは初めてだ。像面湾曲の根本的な解決はマウントの調整ではできない、ということで、この像面湾曲の著しいレンズでの撮影は諦めるか、思い切った割り切りが必要となる。私の場合は20㎜で解放F値1.8という他には無いスペックが非常に気に入っているので、割り切りの方を選択する。広角は風景撮影に使用し、F8以上に絞ってパンフォーカスで撮影するのというが主流の考え方で、どうせ絞るから20㎜はF3.5やF4でOK、という捉え方もある。しかし、ここはせっかくの大口径解放F1.8。この解放F値を活かすには従来の広角レンズの使用法とは自ずと異なるはずなのだ。

シグマ 20㎜ F1.8 EX DGを使用する理由は絞り解放による効果を得るため。これは何を意味するだろうか。立体的な空間に於いてピントは画像素子に対して平行な面であることが理想であり、そうあるべきだけれども、このレンズはそれが大きく湾曲している。しかし、被写界深度が浅い解放F1.8での撮影では像面が平面であっても湾曲であっても、ピンの欲しい個所は立体的な空間の一点くらいなもの。つまり、像面湾曲の影響が大きくなる遠景は別としも、絞り解放で中距離や近距離で使用するには像面が湾曲しても、ボケの中に像面湾曲の影響は溶け込んで実害は無い、とは言わないが気にならない程度になる、と判断するのだ。

10年以上前の設計とはいえ、非球面レンズを使用した光学系によってフォーカス部分においては非常にシャープに写る。これは周辺でフォーカスを合わせた場合でもシャープに写るので背景をボカしつつ主題を浮き立たせる撮影を行えば高級レンズに引けを取らない描写を得ることができる(ちょっとひいきしているかもしれんが)。

シグマ 20mm F1.8 EX DGは像面湾曲が酷く、遠景をF1.8解放で撮ると、中央でフォーカスすれば周辺が流れ、周辺でフォーカスすれば中央がボケる。周辺と中央の中間でフォーカスすると画面全体がボンヤリと霧のかかった眠い画質になる。結果、20mm F1.8DGの評価の多くは芳しくないものとされてきた。やはりサードパーティのレンズメーカーによる無理なスペックを無理やり作った「いまいち」なレンズだ、という評価を受けているのが実情だ。しかし、これが正当な評価と言えるか、と問われれば少し反論したくなる。

確かに超広角20mmで大口径F1.8をリーズナブルな価格で発売することはかなり無理がある。その無理が像面湾曲に現れているし、華奢な鏡胴、精度のあやしい組み付けに現れている。広角焦点距離20mmでF1.8を実現する為には、妥協を重ねているのは間違いのないことだろう。しかし、同じ妥協であっても、例えば”24-70mm F3.5~4.5”みたいなありふれた普及タイプのズームレンズの価格破壊を目的に性能を妥協するような後ろ向きなものではなく、果敢に、他社が出さない、あるいは出せないようなスペックに挑んで、それを製品化する過程の妥協は前向きな妥協と言える。この前向きな妥協がなければ、製造コストが上がり、それが販売価格に跳ね返り、場合によっては市場に受け入れられない高価格となってついには発売には至らなかったかもしれない。

「大口径の広角レンズでは、それを敢えて絞って撮影する者は少ないだろう。中近距離で背景をボカす使い方が主流となるはずだ。ならば、フォーカスが合う部分はシャープに描写しボケとのメリハリを出すべきだ。それには非球面レンズを使用するが、一方で像面湾曲を残すことで諸収差をバランスさせよう。像面湾曲の影響はボケの中に溶け込んでしまうだろう。」そんな方針で設計されたかどうか、知る由もないが実際に使用する場合、遠景にさえ気をつければ20mmでありながらの大口径の描写を十分に享受することが出来る。シグマは偉大なる妥協で他には代えがたいオンリーワンのレンズを発売したのだ。

SIGMA 20mm F1.8EX DG RF 絞り解放で撮影
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by oblivion2077 | 2013-08-11 23:17

違和感の正体

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2001年の発売から10年が経つシグマ 20mm F1.8DGは、公表されていないマイナーチェンジが繰り返されていると見られ、内蔵のCPUも変更されているとのことらしい。外装も現在のシックなマットブラックに至るまで、私の所有のザラザラでラメっぽいキラキラのある樹脂のものや、ゴムローレットの滑り止めパターン形状の変更など、何度か紆余曲折あるようだ。当然、初期型から光学系も硝材の変更も含め、修正変更があったろう。

ネット上の評判については、スペックが若干マニアックなレンズということもあってか、サンプルが少なく参考にするには微妙なところだけれど、その数少ないテスト撮影の評価は周辺画質が悪いとの結論が多い。片ボケも発生するという一方で、メーカー調整後は良好の報告もある。私が購入したのは中古のレンズだけど、このレンズの購入前にそれらの性能や傾向の情報をネットのレビューやテスト報告から得ていたので、CPUが刷新されていると思われるシリアルのレンズを2個取り寄せて、お店にフルサイズのDSLRを持ち込んで試写させてもらって状態確認を行ったのだ。結果は、2本双方が前ピンで右画面の片ボケという同じ症状。そんな場合はボディを疑うことになるが、所有しているニコン純正レンズ(24mm F1.4G)では問題は無しだった。この中古レンズには半年の保証がついているので、片ボケは保証範囲で修理可能とお店に確認した上で、購入を前提に一旦、メーカーに送って片ボケ修理を行ってもらった。

しかし、シグマは片ボケを社内基準範囲内として修理を拒否(販売店の話では)した。これについても、ネット上で同様の話が載っていて、片ボケの程度によっては調整されずに返送されるらしい。等倍で確認が容易な現状に於いては、微に入り細を穿つユーザーの目に晒されるメーカーに対して同情もあるので、前ピン、片ボケは気にはなるけど一応納得して購入した。購入して持ち帰り、自分で調整できるものなのか、いろいろ試写をして検討することにした。

前ピンについてはボディ側の調整ですぐに解決した。次に片ボケはマウント部を取り外してスペーサーをかます方法を採る。マウントを分解してみるとちょっと戸惑うのは、分解し慣れたニコンのマニュアルレンズとは異なって現代AFレンズの内部は(というかシグマの鏡胴内が、とういべきか)非常に華奢でプラモデルのようであること。鏡胴と金属マウントの間に数枚の極薄スペーサーが既に咬ませてあり、現場調整が前提の、少しダルな設計が伺える。このあたりの調整具合によって当たりレンズ、外れレンズが出るのだろうか。片ボケを矯正するようにスペーサーとして紙を挟み込んで組み立てる。しかしもともと入っていた極薄の金属スペーサーがヒラヒラと動いて組み立てにくい。そしてヒラヒラの極薄スペーサーを落ち着かせていると、マウントと鏡胴をつなぐ極薄のフレキを切ってしまわないかヒヤヒヤするのだ。まともに組み上げられるか不安になり、AFレンズは分解するものではないな、と心から思うのだった。

組み立てて試写するも、紙のスペーサーでは調整として全然足りないことが判明。薄い紙のスペーサー如きでは変化は見られなかった。マウント部のネジを緩めて敢えてマウントと鏡胴の間にガタを生じさせて、カメラにセット。片ボケが矯正される方向に鏡胴を歪めながら撮影する。歪め具合を微妙に変えながら撮影すると、画面の左右で像が同じくらいにピントが来るポイントがあった。このベストポイントが見た目でも分かるほどに鏡胴を歪める必要があるので、思い切って根本から改善する事にした。

意を決し、分解組み立てを阻害している、あまり役に立っていない極薄金属スペーサーを取り去り、自作スペーサーの調整をやりやすくした。そして、薄く切った発泡ゴムをスペーサーとしてマウントと鏡胴の間に、しかも片側だけに設置した。大幅に鏡胴を歪めなければ正常にならない為、厚めのスペーサーを片側に入れ、マウントを鏡胴に固定するネジをスペーサーを入れた方を緩めた。それ程歪める必要がある。つまり、調整の範囲を超えた処理をしなければならない為、メーカーは調整を断るしか方法がなかった、ということだろう。

調整後しばらくは気にせず使っていたけど、やはり完全に固定せず(固定できない)無理に調整しているので遠景を撮るたびに微妙にズレたりする。不安定な状況に何か違和感を覚え、そうするとまた気になってくるので、色々と条件を変えて試写をしてみる。すると、中央を前ピンにすると周辺の像がクッキリとし、中央にピントを移すと周辺がボケる。その中間の程度によっては中央、または周辺がボケる程では無いがフレアっぽくなる。

この症状は何を意味するのか。これはつまり、すべての違和感の源は像面湾曲にあったのだ。しかも、これはかなり重症な像面湾曲だ。
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by oblivion2077 | 2013-08-11 17:58

SIGMA 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF

2001年の発売からかなり経つシグマ 20mm F1.8 EX DG。DGということはFXフォーマット、つまり35mmフルサイズに、開放F1.8という大口径ながらも対応しているということ。いや、フルサイズに対応というべきか、2001年の発売当時はまだ主流であった銀塩35mmフィルムカメラの為に発売されたレンズなので銀塩カメラ用レンズだ。超広角20mmでありながら、開放F値1.8と大口径なのは、純正メーカーが造りたがらない(責任をもって造れない?)スペックの隙間レンズを狙うサードパーティレンズメーカーらしい仕様。価格も中古なら3万程度で買えるし、新品でもカタログスペックから考えるとリーズナブルだ。純正メーカーが同じものを造ると30万は超えるのではないだろうか。

このレンズの購入理由は超広角20mmで開放f1.8から期待できる「大口径のF解放で広い画角の背景を程よくボケさせる」描写に魅力があったからだ。これにより旅行の記念写真も人物を浮き立たせつつ、広範囲に映り込んだ背景でどこで撮ったか十分に判別できる。これが標準レンズだと、すぐ傍を歩く連れを狙えばバストアップよりも大きく写って背景もごく一部が切り取られる。もちろん解放F1.4とか1.8で撮れば背景は大きくボケてどこに居るのか全く分からない写真となる。旅行写真が楽しくなるのと同時に、通常の撮影でも広い空間を柔らかく表現したい場合は、20mmでf1.8というスペックは実に他には代えがたいのだ。

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レンズの鏡胴サイズは20mmとは思えないほど大きい。花形のフードを取り付けると更に大きくなるが、フレアを抑える為には必須となるだろう。レンズのサイズとして携帯性を考えると、太さは許容するけど、長さは抑えて欲しいところ。収納時にレンズの突出がジャマなのだ。

購入する為に店舗へ赴き、テストの為に持ち込んだカメラに装着して試写し、すぐに柔らかい描写の虜になった。真ん中はキレキレのシャープで周りはホンワカ。不思議な魅力だ。その魅力の正体は後に判明するのだった。
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by oblivion2077 | 2013-08-08 22:16